ワイルドリフト/dev: ワイルドリフトのバランス調整

「ワイルドリフト」バランスリードのJonathan “JCM1117” Chaoが、彼のチームとバランス調整の実際についてお話します。

「マスター・イーが強すぎる!」
「ジンクスは全然ダメね!」
「このチャンピオンひどいな!」

こんにちは、Jonathanです。そして上の台詞はすべて、私がリーダーを務めている「ワイルドリフト」バランス担当チームの面々が、前回のテストプレイ中に発した実際の言葉です。

今回の記事では、バランス担当チームの面々の紹介とともに、私たちの仕事の内容、そして今後のパッチのスケジュールについて簡単にご説明します。このゲームが進化し続けていく間も、皆さんとのコミュニケーションは続けていきたいと考えています。


バランス担当チームの面々

このチームには、様々な分野で幅広い経験を積んだ人間が集まっています。

  • 私はJonathan “JCM1117” Chao。「ワイルドリフト」のバランス担当チームのリーダーを務めてもう1年以上になります。PC版LoLではマスターまで、その他のモバイル版のMOBA(アクション型オンラインゲーム)でもトップランクまで上がった経験があります。ライアットに来る前は、UbisoftでモバイルとAAAタイトルを複数手掛けていました。
  • Alex “Wav3Break” Huangは、PC版LoLのチャンピオンとバランス調整を5シーズンに渡って手掛けた古株です。「ワイルドリフト」開発初期からのコアメンバーの一人であり、操作方法のデザインも手掛けています。
  • Bao “ShinKaigan” Nguyenはバランスと将来的なマップ&ゲームモード開発の双方を担当しています。彼はかつてArdent Allianceの一員として「Vainglory」のシーズン2世界王者に輝いた経験があり、その後ゲーム開発の分野へとやって来ました。
  • Mike “RogueFool” Breeseはこのチーム内では新しいメンバーで、以前はワーナー・ブラザーズのAvalancheで働いていました。現在は各チャンピオンのマナ消費量の均等化と、リフトヘラルドの調整を行っています。
  • そのほか、地域ごとのデータやプレイ傾向を把握するため、世界中のパートナーに協力を仰いています。
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バランス担当チームの仕事

私たちはゲームプレイ全般を担当する大チームの一部として、ワイルドリフトの試合中の部分——つまりゲームの読み込みが始まってから、どちらかのネクサスが爆発するまで——の改善と保守を担当しています。例えば以下のような部分です。

  • リリース後の各チャンピオンのステータスとスキル
  • ルーン、サモナースペル、アイテム
  • おすすめ設定
  • 試合全体のテンポ
  • 建造物とミニオン
  • ジャングルモンスターと中立オブジェクト

    私たちの目標

    「ワイルドリフトを全モバイル向けMOBAの中で最もバランスの取れたゲームにする」、これが目標です。

    すべてのチャンピオンに利用価値を持たせるとともに、あらゆるプレイヤー帯で特定のチャンピオンや戦術が圧倒的になりすぎないよう、全力で取り組んでいます。

    とはいえ、「ワイルドリフト」はまだ生まれたばかりのゲームです。プレイデータが少ないことから、現在のゲームバランスはPC版「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」が蓄積してきたものと、社内で幾度となく行ったテストプレイがその土台となっています。時には問題の兆候を見逃すこともあるかもしれませんが、状況に即したバランス修正をできるだけ迅速に施せるよう、様々なチャンネルからの皆さんのフィードバックや、プレイ内容のデータを常に注視しています。

    ライアットでは「データドリブン」ではなく「データインフォームド」という表現を使います。つまり私たちには勝率やピック率、その他山盛りのグラフ類だけでなく、「数字的には問題ないが感覚的に気持ちが良くない部分」といったような情報も届くのです。もし何か不満な要素があった場合は、ぜひ私たちにお知らせください!

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    バランス調整の頻度

    大規模なバランス調整パッチについては、皆さんがスケジュールを把握しやすいよう、およそ2週間ごとに決まった曜日にリリースされることになっています。しかし、現在はまだ開発スケジュールの検討が続いているため、地域別オープンベータ開始後のパッチ頻度はやや不定期になるかもしれません。今のところは何よりもまず、できるだけ多くのプレイヤーの皆さんにクオリティーの高いゲームをお届けできるよう作業を進めています。

    パッチのたびに同じ箇所を何度も再調整するような事態を避けるため、通常であればバランス調整はまずデータの検証からデザイナーとの会議、仮実装、テストプレイによる検証、そして品質確認という一連の手順を踏んでリリースされます。つまりデータとして気になる部分が発生しても、次のパッチで即修正とはならない場合があります。

    大きな変更やバグ修正については、クライアント自体に手を入れなくてはならない場合があるほか、PC版LoLと異なる点として、「ワイルドリフト」はサードパーティーストアによる審査も受けなくてはならないので、時間がかかってしまいます。しかしバランスが激しく崩壊している部分(勝率66%のカミールとか…ゲフンゲフン)が見つかった場合は、応急処置としてホットフィックスをいれていく予定です。これからリリースが予定されているチャンピオンの人数を考えると、今後こういった対応を取る機会もしばしばあるかと思います。

    今回の記事はここまでです。後日リードバランスデザイナーのAlex “Riot Wav3Break” Huang(彼の名刺は肩書が長いんです)によるフォローアップ記事が掲載されることになっています。そちらでは彼が、各スキル帯との兼ね合いを考えつつ変更内容を決めるまでの過程や、あるバランス調整が実際に施されるまでの流れを一通り見せてくれるかと思います。それと余談ですが、彼はゼド使いです。

    それでは、またお会いしましょう!