/DEV: バランスフレームワークの刷新
まずおさらいとして、私たちバランス担当チームの目標は「ワイルドリフトを全モバイル向けMOBAの中で最もバランスの取れたゲームにする」ことであり、すべてのチャンピオンにプレイする価値を持たせるとともに、ゲーム内で特定のチャンピオンや戦術が圧倒的になりすぎないように気を配っています。そして調整を施す対象は、統計データに基づいて決定します。
数ヶ月ほど前、私たちは地域別アルファやクローズドベータ、そしてオープンベータ期間で得られたデータとフィードバックを元に、バランス調整のためのフレームワーク(枠組み)を策定しました。このフレームワークは手を入れるべきチャンピオンを判断する上でのガイドラインの役割を果たすものですが、突出したケースも数多く存在するため、決して「厳守すべき重要なルール」というわけではありません。
チャンピオンのバランスを見る上で特に重視する統計データは、そのチャンピオンの「勝率」です。バランスが悪くなっている部分が見つかったら、次に様々なデータ(例えば「1試合あたりの平均与ダメージ」など)を活用してより深い分析作業を行います。現在、このフレームワークでは全チャンピオンを各MMR帯、および主要5ポジションでの戦績によって診断しています。
プレイヤー帯ごとの勝率でのバランス
ではいくつか例を挙げてみましょう。
- ドクター・ムンドがエリート帯で勝率53%となっていても、ピック率がほんの1%であった場合、弱体化は施さないでしょう。
- マスター・イーの勝率が高スキル/エリート帯で50%を切っていても、平均帯で56%以上だった場合は、弱体化を施すでしょう。
- リー・シンの勝率が全プレイヤー帯で47%、かつエリート帯でのピック率が3%だった場合、強化は施さないでしょう。リーのような技術による伸びしろが大きいチャンピオンは、元が強いと手がつけられなくなる可能性があるため、勝率は50%以下のままでも問題ありません。
- もしザヤの勝率が全プレイヤー帯で46%になっていた場合は、強化を施すでしょう。
ポジションごとの勝率から見たバランス
一部のポジションでは判断基準に全体でのピック率も含まれていますが、これは本来そのポジションでの使用を意図されていないチャンピオンを弾くためで、これらのフレームワーク上の数値はすべて、今後のメタの変化に合わせて調整していくことになっています。また各ポジションで試合への影響力に差があることから、勝率の許容範囲もポジションごとに変えています。
こちらのフレームワークの適用例としては…
ミッドのイブリンの勝率が54%でピック率が5%だった場合、ミッドレーン向けの能力を弱体化するでしょう。
サポートのジャーヴァンⅣの勝率が55%でも、ピック率が0.01%だった場合は、弱体化はしないでしょう。
改めて明言しておきますが、これらの数値は単なるガイドラインに過ぎません。例えば最大4つのポジションで使えるグラガスのようなチャンピオンに対して、こういった画一的なフレームワークを適用するのは難しいでしょう。私たちの目標はあくまで「一体、または一握りのチャンピオンがポジションを独占しないこと」、そして「各ポジションに幅広いピックの余地を残すこと」なのです。
これからのフレームワークの話
このフレームワークは今後手直しされる予定で、新たに2種類の判断基準(「プロシーン」と「チャンピオンのバン率」)を含めた最新版が用意でき次第、また改めてご紹介したいと思います。また、チャンピオン数の増加に合わせて、フレームワーク上で使われているピック率の基準にも調整を施す予定です。